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人事労務トピック 株式会社名南経営 常務取締役 小山邦彦
活力のある会社には訳がある
2008/07/14

関与先の企業で、それまで「お荷物」とも囁かれたベテラン社員が、トップ営業マンとして頭角を現すほどの大きな変化がありました。その舞台の裏側をご紹介します。



 関与させていただいている企業を永年観察していると、人的資源管理の面で時折興味深い現象に出会う。ある企業(企業Aとしよう)はこの数年、従業員の意識が徐々に高まり、若手・ベテランを問わず、好ましい競争意識が芽生えてきた。もちろん業界では完全に勝ち組に位置している。驚いたのは、数年前まで「お荷物」と囁かれていた50半ばのベテラン男性がめきめき頭角を現し、今やトップ営業マンになって尊敬を集めていることである。特段の施策を打った訳ではないのに・・・と経営者も笑って首を傾げているだが、そこにはやはりそれなりの理由があった。


秘密1〜ポジション(役職や配置)が流動化する風土が定着している

 企業Aは、管理職やリーダーをやらせたものの、適任でないと判断されれば時期をまたずあっさりと解任し、役職者を変更してきた。また、入社2年目程度の若手社員でも可能性があればすぐにリーダーに任命している。このような過程で捲土重来(同一部署も他部署もある)を果たしたメンバーも数名おり、役職に就くこと、降りることについて抵抗感が低い。また、その職に向いていないと判断されれば配転もあっさり行われ、これについても抵抗感がほとんどない。15年前は全く逆の風土であったこの企業Aは、ある時期を境にこの施策を始めた。当初はベテラン管理職の抵抗もあったが、15年に亘ってこの流動化を行うと、「これが当たり前」という風土が定着した。解任されれば多少給与も下がるが、これも当然のこと、と理解されているという。実はこのような企業は稀である。メンツやヤル気の低下を慮って解任を躊躇したり、様子見といって放置するケースが多いが、これは組織を生き物とすれば、このような配慮は逆効果になるのかもしれない。


秘密2〜経営者がコーチングを本気で始めた。

 そもそも経営者自らがコーチングをやろうという意思を持つこと自体が稀である。通常、経営者はトップダウンタイプであり、従業員の話をじっくり聴いて相手が内に持っている答えを導き出すことは不得手な方が多い。つまり、説得は得意だが傾聴は苦手なのである。この企業Aの経営者のコーチングスキルはかなりのレベルであり、件(くだん)のお荷物営業マンが劇的に変わったのも、この経営者のコーチングの効果が大きいのだろう。50半ばのベテラン社員が本気で変わったという話は、実はあまり聞いたことがない。「普通は変わるものではない・・・」と先入観を持っていた(私もこの社員をよく知っているのだが)ので、まさか彼がこれほどまでに変わるとは驚きである。もちろんちょっとした後押しをする報酬制度も用意したが、このような制度だけで人は変わるものではない。基本は、経営者が受容と共感の姿勢を示したことにあったのだろう。
いずれにしても、お客様には教えられることが多い。


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