このトピックで何度も採り上げた偽装管理職問題であるが、影響が燎原の火のごとく拡がり、多くの企業が労働時間管理の検討をせざるを得なくなった。しかし、いざこれにとりかかると労基法関係法令による労働時間管理問題は奥が深いというか、非常にややこしいことに気づく。例えば以下の問題。
- 部下を10人抱える部長がいるが、人手不足のため、ほとんど現場で作業をしている。採用権限もあり、経営会議にも出るが、果たして彼は労基法でいう管理監督者なのかどうか?一部管理監督者、一部労働者という区分はできるのだろうか?
- 社員2人で午後から社用車にて片道2時間かかる顧客へ訪問し、所定の業務を終了して帰社が午後9時になった。片方の社員は免許がないので運転していない。この2人の労働時間はどうしたらよいか。事業場外労働みなし(原則、直接の指示命令が及ばない事業場外労働でかつ労働時間の把握が困難な場合に適用)が使えれば所定労働時間働いたものとできることも知っているが、どうしても車を運転して行かねばならず、かつ必要な荷物もあるとなると気の毒でもある。といって全部を労働時間にしていいものか。
他方、免許のない社員は寝ていることもできる(自由使用)可能性もあるため、こちらは労働時間にしなくてもよいと思うのだが・・・。
- 残業は命令だから、ウチは事前申請がないと許可していない。しかし仕事が多いことは否めず、ほとんどの社員が申請せずに勝手に残業をしている。上司もそれを黙認しているが、勝手にやっているのだから残業手当は支払う必要はないと思うが・・・。
- 年俸制にすれば残業手当を支払わなくていいのではないか?
- 通勤ラッシュを避ける都合で、毎朝始業1時間前に出社している社員がいる。仕事もしているらしいが、この時間は労働時間としなければならないのか?
- 採用時、「残業手当は基本給に含まれている」と雇用契約書に記載してある。こうしておけば残業手当を別途で支払う必要はないのではないか?
- 社員の便宜のため半年休制度(半日単位の年次有給休暇)を導入しているが、半休の途中で出勤して来た場合、それは労働時間になるのか?
- 社員から「外部研修(業務に関連する)に出たい」という申請があり、それを許可した。費用は会社負担。研修は9時から20時まであるというが、終業時刻以後は残業手当の対象になるのだろうか?また、そもそもその研修の日は本人の年次有給休暇を使うべきではないだろうか?
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回答が難しい問題が多いと思うが、問題事例はまだまだある。会社の数だけ労働時間の問題があると云ってもよいくらいである。しかし、これらをクリアしていかないと労務コンプライアンスに漏れが生ずる。もちろん事案の軽重はあるが、実務では悩ましいところである。
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