今年の夏のボーナスは、非製造業を中心に6年ぶりの減少となったようです。一方で、ガソリンをはじめとする生活費全般において、原料高を要因とした上昇傾向にあります。入る方が減るだけでなく、出る方は増え続けるという状況では、消費マインドは当然冷え込むことになります。また、北米市場の景気減速の影響で、東海地方では自動車産業が大きな影響を受けようとしています。数量の減と単価の下落、このダブルパンチでは、高コスト体質の企業はひとたまりもありません。企業のリーダーは、この難局を強いリーダーシップによって、果敢に勝ち抜いていかなければいけません。
こういう時期におけるリーダーの鉄則は、「率先垂範」です。リーダーシップを発揮する上で率先垂範が重要であることは、過去の名経営者の言葉を振り返ってみても明白でありますが、こういう(逆境の)時期こそ、リーダー自らが先頭に立って(率先して)、行動の規範を示していくこと(垂範)が重要なのです。
トーマス・ストローという学者が提唱するH理論というマネジメント理論があります。この理論は、リーダーシップが発揮されるか否かは、リーダーの側の問題ではなく、リードされる側の問題であり、リードされる側の実態にあったリードの仕方をすることが、リーダーシップを発揮する上での要諦であると説いています。
このH理論によると、(組織が)危機的な状況においては、独裁的なリーダーシップスタイルをとる必要があると説いています。そして、(組織の)状況が好ましいものになるにつれ、徐々に主体を当事者達に移し、最上位のリーダーシップは放任することとしています。
現状は危機的な状況とまではいえないかもしれませんが、環境が大きく変わる転換点であります。しかも、厳しい見通しの中で、対処を誤れば大きなマイナスとなる可能性が高い状況ですから、ここではぐっと手綱を引き寄せて、独裁に近いリーダーシップを取る必要があります。独裁という言い方は誤解を招きやすいのですが、それはまさに率先垂範のリーダーシップと言い換えることができるでしょう。
もうひとつ、日常の部下育成の観点でも率先垂範は重要な要件です。例えば、イトーヨーカ堂グループの名誉会長である伊藤雅俊氏はその著書の中で、「お客様やお取引先の信頼関係が成り立つためには、会社内部における信頼関係ができていることが必要で、上司も部下に口で不平を言うだけでなく、率先して実行して初めて言葉に説得力が出る」といっています。日常の仕事場の中で、信頼関係を創り出すのも上の人間の率先垂範であるということです。リーダーの日常が口ばかりで、行動が伴わないのならば、いざというときにも組織が一致団結できようはずがありません。
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